コンプリート・シャーロック・ホームズ
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家政婦のアレン夫人の説明は、話を聞いた限りでは、エイムズの証言を裏打ちするものだった。家政婦の部屋は、エイムズが仕事をしていた食器室より、少し家の正面に近かった。彼女は寝る準備をしていた。その時、騒々しいベルの音に彼女は気づいた。彼女は少し耳が遠かった。多分そのために、彼女は銃声を聞いていなかったのだ。いずれにしても書斎はかなり遠くだった。彼女は何かの音が聞こえたことを覚えていた。その音は扉がバタンと閉まる音だと思った。音が聞こえたのはかなり前だった、 ―― 少なくともベルが鳴る30分以上前だった。エイムズが家の正面へ走ってきた時、彼女はエイムズと一緒に行った。彼女はバーカー氏が非常に青ざめ興奮して、書斎から出てくるのを目撃した。彼は階段を下りていたダグラス夫人をさえぎった。彼は彼女に戻るように懇願し、彼女は言われる通りにした。彼女が何を言ったのかは聞きとれなかった。

「夫人を連れて上がって!夫人と一緒にいなさい!」彼はアレン夫人に言った。

こう指示されたので、彼女は夫人を寝室に連れて行き、心を落ち着かせようとした。彼女は非常に興奮し、全身が震えていた。しかし、もう無理に階下に行こうとはしなかった。彼女はただ手に顔をうずめながら、ガウンを着て寝室の暖炉の横に座っていた。アレン夫人はほとんど一晩中彼女と一緒にいた。ほかの使用人に関しては、全員寝ており、警官がやってくるほんの少し前まで騒ぎは知らなかった。使用人は家の一番後ろの部屋で寝ていたので、まず何も聞こえなかっただろう。

以上、この家政婦は悲嘆と驚きの表現以外には、相互尋問で何も付け加える事ができなかった。