コンプリート・シャーロック・ホームズ
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私は初めて犯行現場を訪れた、 ―― 高い、薄汚れた、幅の狭い家だった。それが建てられた世紀のように、とりすまし、格式ばって、がっしりしていた。レストレードのブルドック顔が正面の窓からこちらを見ていた。そして大きな巡査が扉を開けて我々を中に入れた時、彼は我々を暖かく迎え入れた。我々が案内された部屋は、犯罪が行われた場所だったが、絨毯の見苦しい不定形の染みを以外には、その痕跡は残っていなかった。この絨毯は小さな正方形のドラゲット絨毯だったが、部屋の真中に敷かれていた。その周りは広い範囲が、美しい、古い様式の四角い区画の木製の床で、ピカピカに磨き込まれていた。暖炉の上に見事な戦利品があり、その一つが惨劇のあった夜に使われていた。窓際には豪華な書き物机があり、そして部屋のあらゆる細部は、絵画、ラグ、カーテン、すべてがほとんど女性的と言えるほど華麗な好みを示していた。

「パリの情報を読みましたか?」レストレードが尋ねた。

ホームズはうなずいた。

「フランスの警察は今回はいい所をつきましたね。間違いなく彼らの言うとおりでしょう。彼女はあの扉をノックした、 ―― 突然来たんだと思います。彼は生活を完全に秘密にしていたのでね ―― 、彼は通りに立たせておくわけにも行かなかったので彼女を部屋に入れた。彼女は彼にどうやって後をつけたかを話し、彼を責めた。色々なことが起きて、その後手近な短刀で、すぐに最後がやってきた。椅子は全部向こう側に片付けられていて、彼はあたかもそれで彼女を撃退しようとしたかのように、椅子の一つを握っていたので、すべてが一瞬で行われたわけではなかった。我々はこの目で見たかのようにはっきりと分かりました」

ホームズは眉毛を上げた。

「それなのに、わざわざ僕を呼んだのか?」

「ええ、そうです。それは別の件です、 ―― ほんのちょっとした事でが、あなたが興味を持ちそうな種類の事です ―― 、奇妙な、そうですね、あなたが風変わりとでも呼びそうなものです。それは主要な事実とは何の関係もありません、 ―― ありえません ―― 、ちょっと見る限りは」

「で、それは何だ?」

「そうですね、いいですか。この種の犯罪が起きたら、警察は非常に慎重に物を動かさないようにします。何も移動されていません。夜も昼も警官がここで持ち場についています。今朝、被害者が埋葬されて捜査が終わった時、 ―― この部屋に関する限りですが ―― 、我々はちょっと片付けてもいいと考えました。この絨毯です。お分かりでしょうが、これは床に止められていません。ただそこに置いてあるだけです。我々はちょっとした機会にそれを持ち上げました。そして見つけました・・・・」

「それで?何を見つけたんだ?」

ホームズの顔は期待にこわばってきた。

「ええ、きっと私達が見つけたものはあなたには到底想像できないでしょう。絨毯のあの染みが見えますね?ええ、かなりの量が染み込んだはずです。そうでしょう?」

「間違いなくそのはずだ」

「さて、あなたは白木の床に対応する染みがないと聞けば驚くでしょうね」

「染みがない!しかし、間違いなく・・・」

「そうです、そうおっしゃるかもしれません。しかし事実、そこにはないのです」

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彼は絨毯の端を手にとってめくり、本当に言ったとおりの状態だということを見せた。

「しかし、絨毯の裏側は表と同じように染みができている。跡が残ったはずだ」

レストレードは有名な専門家を困惑させた喜びにニヤニヤした。

「さて、どういうことか説明しましょう。二つ目の染みがあります。しかし、それは他の染みと対応していません。ご自分で確かめてください」話しながら、彼はカーペットの別の部分をひっくり返した、そしてそこに確かに赤褐色の大きな流出物が、古い形式の床の四角い白い表面の上にあった。これをどうお考えですか?ホームズさん」

「いや、これは単純そのものだ。この二つの染みは対応していない。しかしカーペットが回されているんだ。これは正方形だし止められていないので簡単にできる」

「ホームズさん、あなたに教えていただかなくても、警察はカーペットが回されていたということは分かります。もしこういう風に重ねれば染みはお互いに一致するので、これは非常に明白です。しかし私が知りたいのは、誰がカーペットを動かしたか?そしてなぜかです」

ホームズのこわばった顔で彼が内面の興奮に震えているのが分かった。

「いいか、レストレード」彼は言った。「廊下にいるあの巡査は、ずっとあの場所を受け持っているのか?」

「ええ、そうです」

「よし、僕の言うとおりにしろ。彼を入念に取り調べるんだ。我々の前ではするな。ここで待っている。裏の部屋に連れて行け。彼一人の方が白状させやすいだろう。なんだってこの部屋に人を入れて一人にしておいたのかと訊け。そうしたのかと訊いてはだめだ。断言して尋問しろ。ここに誰かが来たことは分かっていると言え。彼を締め上げるんだ。完全に白状する事だけが許してもらえるチャンスだと言え。僕が言ったとおりにしてみろ!」

「なんと、もし彼が何か知っているなら白状させてやる!」レストレードは叫んだ。彼はホールに駆けていき、しばらくして、奥の部屋から脅す声が聞こえてきた。